中古マンション購入時には修繕積立金のチェックを忘れずに!

中古マンション購入時には様々なチェックポイントがありますが、その中でも「中古マンション」ならではのチェックポイントを忘れずに確認することが大切です。

中古マンションを購入する際に、立地条件や周辺環境、日当たり、間取り、耐震強度、共用部や住宅設備・内装仕上げの劣化状況などは誰もが気にすることですが、修繕積立金の額のチェックについてはつい疎かになりがちです。

マンションで快適な住環境を長く維持していくためには、十数年ごとの大規模修繕が欠かせません。
そしてこの修繕に備えるためには、長期修繕計画にもとづいた計画的な積み立てが不可欠です。
大規模修繕は、外壁の修繕や屋上防水、バルコニー防水の修繕等を中心に行われるものですが、建物を単に新築当時の状態に戻すだけでなく、「建物の資産価値向上」という重要な目的があります。

しかし「修繕積立金」が不足していて、十分な修繕工事が行われない可能性が高いマンションが少なくないのが現状です。
修繕積立金が不足してしまう理由には、新築時に売主から提示された修繕積立金の額が低すぎる、修繕積立金の滞納が多い・・・といったことがあります。
売主が購入のハードルを下げる(つまり売りやすくする)ために修繕積立金の額を低めに設定することは珍しくなく、また数多くの世帯が住んでいるマンションでは修繕積立金の滞納が全くないのはむしろ稀なことです。

国土交通省発行の「マンション修繕積立金に関するガイドライン」によると、修繕積立金の適正額はおおむね専有面積1㎡あたり200円/月(専有面積80㎡の場合16,000円/月)が妥当とされていますが法的な強制力を持つものではないので、ほとんどのマンションがこれを下回っているのが現状です。

一方、大規模修繕に必要な費用の目安は一戸あたり概ね75万円~125万円(総戸数200戸のマンションであれば1億5,000万円~2億5,000万円)で、築年数が古いほど、総戸数が少なくなるほど、共用施設が多いほど、建物が高層になるほど一戸あたりの金額が上がる傾向があります。
また、1回目の修繕よりも2回目、2回目の修繕よりも3回目の方が費用がかかるのが一般的です。

大規模修繕工事の予定や修繕積立金の額、現在の滞納額などは、不動産仲介会社を経由してマンションの管理組合に確認することが可能なので、これらを元に大規模修繕工事実施時に修繕積立金の不足が生じることがないかどうかの見当をつけることができます。
中には将来明らかに修繕積立金が不足することが予想できるマンションが存在するにも関わらず、その様なマンションとそうでないマンションが同じ価格水準で売買されているのが現状です。
修繕積立金は区分所有者全員の共有財産なので、同じ築年数で同じ様な立地条件のマンションでも修繕積立金が1億円未満のマンションと2億円以上のマンションとでは資産価値に大きな差があるのは明らかです。
しかし、このことをきちんと説明してくれる不動産仲介会社はほとんどありません。

なぜ修繕積立金のチェックが必要になるのか?

修繕積立金の不足が明らかな場合には、将来積立金の値上げや多額の一時金の支払いなどが発生し、何もできなかった場合には建物が陳腐化して資産価値が大きく減少してしまうことになります。

したがって中古マンションを購入するにあたっては、仲介会社を通じて管理組合から以下の項目について確認することを忘れない様にしましょう。(ただし購入予定者などの第三者には直接教えてくれないのが一般的です)

・現在の管理費及び修繕積立金の額(重要事項説明書にも記載あり)
・マンション全体の管理費及び修繕積立金の滞納額(滞納がある場合にはどの様な対策を講じているのか)
・修繕積立金の総額
・管理費及び修繕積立金の値上げ予定
・大規模修繕工事の予定

また修繕積立金の額は、新築時から徐々に値上げしていく段階増額積立方式になっていることが多いので、5年目、10年目、20年目などで一気に値上げしてしまうこともあるので注意が必要です。

新築マンションに比べて低価格で様々な選択肢の中から物件を探すことができるのが中古マンションのメリットです。
しかし管理状態や修繕の状況によって、同じ築年数でも大きな違いが生じているのが一般的です。
中古マンション選びでは、立地や間取り、専有部分の状態などに目が行きがちですが、修繕積立金についても重要なチェックポイントになります。

長期修繕計画や修繕積立金の額が適正なのか、将来的に必要な修繕が行われなくなる可能性はないのかなどを不動産仲介会社の営業マンから教えてもらうことはほとんどできません。
自分でチェックするだけでは不安な場合には、マンション管理士などの専門知識を持った人に相談すると良いでしょう。

※マンション管理士とはマンション管理に関する様々な問題の解決をサポートするための国家資格者で、管理組合や区分所有者からの相談に応じて助言・指導・援助を行うと共に、建物の構造や設備に関する知識、大規模修繕を含む技術的知識などを備えています。
弊社にはマンション管理士も在籍していますので、お気軽にご相談ください。

専有床面積当たりの修繕積立金額[1]
マンション専有面積1㎡あたりの修繕積立金の価格帯
マンションによって大きな価格差が生じていますが、安くなるほど必要な修繕が行われなくなる可能性が高くなります。

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