天然乾燥しながら強度を増していく特性。木造住宅の寿命と木材の強度は?

我が国では木造住宅の資産価値は築 20 年以上経過すると激減します。また、木造住宅の寿命は 27 年とも 30 年とも言われています。果たしてこれらには具体的な根拠があるのでしょうか?

築 30 年以上経過してもまだ存在していて、十分使用できる建物も決して少なくありません。
実際に私が以前大掛かりなリノベーションを担当した住宅は、そのほとんどが築 30 年以上経過したものでした。まだ 20 年以上は全く心配ないはずです。

では木造住宅の本当の寿命はどの位なのでしょうか。

木造住宅の寿命と木材の強度

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我が国には伝統構法で建築された築100年を超える建物もいまだに数多く存在しています。

また現存している日本最古の木造建築である法隆寺の五重塔は築 1300 年といわれています。

生活スタイルの変化や、断熱・省エネ性能などの住宅に求められる基本性能の変化のため、または建築設備の老朽化のために建て替えられてしまう事はあっても、決して構造的に問題があるとは限りません。

そもそも古い木材だから強度がないという事はないのです。木材は伐採されてから、製材・乾燥という工程を経て住宅等に使われるのですが、時間をかけて天然乾燥しながら強度を増していく特性があります。

またこうして天然乾燥した木材は、反りや狂いが出る事もありません。

樹齢 100 年のヒノキは、伐採後 100 年後が最も強度が高くなるそうです。

現在の住宅に構造材として使用される木材は強制的に乾燥させた木材か、ひき板または小角材を接着した集成材です。
古い木材はこれらの新しいものと比べても決して劣る事はありません。築年数だけで住宅の価値を判断するのは間違いなのです。

しかし、木材を長持ちさせるためのメンテナンスは欠かすことができません。湿気などの影響を受けて傷んでしまったり、白蟻被害や虫食いなどがあると強度が大きく下がってしまいます。床下の湿気や結露、雨漏れは大敵です。適切な点検や修繕をしっかりと行う事で、木造住宅の寿命はまだまだ延びるはずです。

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