昨今、わが国でもホームインスペクションが少しずつではありますが、ようやく認知されつつある様に感じます。
ホームインスペクター(住宅診断士)は住宅診断(ホームインスペクション)のプロで、住宅を目視可能な範囲で隅々まで調査して不具合があれば包み隠さず依頼者にお伝えし、問題がない場合にはそれをそのままご報告しなければなりません。
そこには忖度があってはならないので、第三者の中立的立場であることが何よりも重要になると思います。
さらに私たちは建物調査で見つかった不具合に対して、適切なアドバイスができることが大切だと思っています。
特に中古住宅においては、建物に何らかの不具合が生じているのが一般的です。
何の問題もないというケースはほとんどありません。
しかし「ここにこの様な不具合がありました」と伝えるだけでは、益々依頼者の不安が大きくなるばかりです。
どんな方法で修繕を行い、修繕費用はどれ位かかるのかといった修繕方法、修繕費用から、自分でできるメンテナンス方法まで、専門家の目線から的確にアドバイスを行うことを重視しています。
ところがこのアドバイスを行うのは、ホームインスペクターであれば誰でもできる訳ではありません。
住宅診断で不具合の有無を判断することはできたとしても、修繕方法や修繕費用についてのアドバイスを行うためには、実際にたくさんの建物の施工管理やリフォーム工事を行った経験が必要になりますし、コミュニケーション能力も必要です。
現場での経験がほとんどなければ、たとえ一級建築士だからといっても適切な修繕方法(建築業者やリフォーム業者に対して直接的確な指示を行うことができるレベル)のアドバイスができる訳ではないのです。
目的に応じたホームインスペクター選びを行うことが大切!
また、中古住宅の売買に伴うインスペクションでは、不動産取引に関する専門知識や状況に応じた臨機応変な対応力が必要になることも少なくありません。
建築の資格だけでなく、宅地建物取引士などの不動産に関する資格があると不動産仲介業者に対しても対等に話をすることができます。
この様に単に建築に関する専門知識だけでなく、リフォーム・修繕に関する豊富な経験や不動産に関する知識が必要なのがホームインスペクターだと私たちは考えています。
住宅の修繕・メンテナンス方法や将来の修繕計画に渡ってアドバイスができるホームインスペクターがいる反面で、建物の不具合の有無の報告だけで終わるホームインスペクターもいます。
売却が目的のインスペクションであれば後者でも良いと思いますが、私たちが目指しているのは前者です。
ホームインスペクターを選ぶ際には保有資格だけで決めるのではなく、目的に応じてしっかりと検討することが大切だと思います。