「家は次第に価値が下がるものだから、資産ではない。」という人がいます。
借金をしてまで買うものではないと・・・。
しかし、人の生活を豊かにしたり、人が健康に暮らすために必要なものなので、単なる「モノ」ではないと思います。
住んでいるうちに愛着がわいたり、幼い頃に過ごした家が大切な思い出になったりします。
全国古民家再生協会の井上事務局長は、家が「モノ」ではない事を前提に「住教育」の大切さを度々話しています。
「住教育」出来ないと家を造っちゃいけないし、「住教育」受けていない人は家を建てちゃいけないそうです。
私も同じ思いです。
さて、住宅業界では、リフォームは新築工事よりも工事単価が低い割に手間がかかる一方で、集客するためにはチラシや販促ツール、ショールームなどの広告宣伝費が新築並みにかかるので儲からないと良く言われます。
しかしこれからの住宅市場を考えると、新築ばかり追っていたのでは先行きが不安のため、仕方なくリフォームも請け負っているという住宅会社も少なくありません。
長い間リフォーム業界に身を置いていた私から見れば、こんな状態ではとてもお客様に満足していただく工事が提供できるとは思えません。
住宅会社によっては、新人に経験を積ませるためにリフォーム部門に一時的に配属したり、新築部門で営業成績が悪い営業担当者を異動させたり、建築知識の全くない未経験者を中途採用するケースもあります。
このような会社は、本気でリフォーム事業に取り組んでいるわけではないのです。
見積書の作成から施工まで下請け業者に丸投げするため、リフォームの営業担当者は素人でも十分。そんな考えが表れています。
また経営トップが無知だと、金額の小さなリフォームは、新築工事よりも簡単だと本気で考えている様です。
施工も全て下請け業者任せで工事も簡単だから、担当者が素人でも問題なしと考えてしまうのでしょう。
こんな状態だからリフォーム工事でのトラブルは、いつになっても少なくなりません。
しかし例えクレームになったとしても、「こんな小さな工事でクレームになるとはけしからん。」で終わりです。
本来、リノベーションや増改築はとても奥深い仕事で、建築的には新築以上に知識も経験も必要な仕事だと思います。
一方、住宅リフォームに真面目に取り組んでいる会社ほど、会社の経営状態が難しくなるという傾向もあります。
現地調査や見積書の作成、打ち合わせ、現場管理などに時間をかけるため、人件費の割合が高くなってしまうのです。
リフォームは冒頭でお伝えした様に、決して効率の良い仕事ではないので、1件の利益率を高くしなければ経営が成り立たなくなってしまいます。
新築工事の粗利益率が25%なら、リフォーム工事の粗利益率は最低でも30%必要でしょう。同じ住宅会社でも、新築とリフォームが同じ利益率では成り立ちません。全く同じ工事の単価が新築とリフォームで違っていても、間違いではないのです。
このようにリフォーム工事の単価が高くなるのには理由があるのですが、それがしっかりとした打ち合わせや現場管理を行うから高くなるのか、下請け業者の見積もりに自社の利益を上乗せしているだけなので高くなるのかを見極めることが必要です。
前者であれば、ある程度満足度の高い工事が期待できますが、後者であれば工事の出来栄えは下請け業者次第になってしまいます。
リフォームに本気で取り組んでいる会社には、リフォーム専門の営業担当者や工事担当者がいるはずです。
担当者が兼任だったら、リフォーム工事は「仕方なく」請け負っている可能性大です。