注文住宅建築の落とし穴

昨日は台風の影響で、移動のため車を運転していても、青空が広がっていると思えば、突然空一面が灰色の雲に覆われて、雨が降り出すなど、天気が目まぐるしく変わる一日でした。
今朝も千葉市内では、先程まで雨が降っていたのに、今は突然の晴れ模様。風は相変わらず強いので、まだまだ注意が必要です。

さて、住宅を購入する手段は様々ですが、やはり多くの人が憧れるのは、注文住宅を建てる事ではないでしょうか。
自分の好きな外観やインテリアの住宅が建てられる、建物が出来上がる迄には、設計担当者と何度も打ち合わせを重ねてプランを作成するので、思い入れのある住まいになる他、地鎮祭や上棟式などのセレモニーを体験できるのは注文住宅ならではです。そして何よりも、自分の住まいが出来上がる過程を一から見られるのが一番の醍醐味だと思います。
しかしその反面、予算を大幅にオーバーしてしまう方が多いので、注意しなければなりません。

同じ新築でも、建売住宅や分譲マンションであれば、土地と建物がセットで販売されていて、建物も完成しているケースも多いので、後で予算が大幅に狂ってしまう事はありません。
一方、注文住宅を住宅会社で建てる場合には、まず最初に、住宅会社と設計契約を取り交わすのが一般的です。
その手順は、住宅会社におおよその予算や希望の間取り、家族構成などを伝え、住宅会社はそれらのヒアリング情報をもとに、ラフプランや概算見積書を作成します。ここまでは通常無償です。プランや見積もり金額でお互いの合意が得られれば、設計契約書の取り交わしへと進んでいきます。ここからの作業は有償となります。

その後何度も打ち合わせや関連法規、敷地等の詳細調査を重ねて、最終プランや仕様を確定し、めでたく工事請負契約となります。
ところが、請負契約時の詳細見積金額が、設計契約時の見積金額をオーバーする事は決して珍しくありません。
私のいた会社では、設計契約時の金額を2割程度オーバーするのが普通で、極端なケースでは最終的な請負金額が当初の予算の2倍以上になるケースもありました。ここまでいくと、さすがに心配になってしまいます。

工事発注金額には余裕が必要!

なぜこの様な事が起きてしまうのでしょうか。
第1の理由は、設計契約時の見積には、電気、水道、ガスの引き込みや外構工事などの建物に付随する工事が含まれていない事が多いためです。また、地盤調査を行わないと必要かどうかがわからない地盤改良工事なども別途となっています。その他建築工事では、詳細調査実施後に、必要となる工事が発生する場合もあります。
このような事まであらかじめしっかりと説明してくれる営業マンは、信頼できるといえるでしょう。

第2の理由は、打ち合わせの過程で発生する追加工事です。住宅設備機器や住宅建材などのグレードアップや、当初の予算に含んでいなかったエアコンやカーテン、造り付け家具の設置などで、予算が大幅に膨らんでしまう事は良くあるケースです。
営業マンも、請負金額が膨らんでいくのは大歓迎なので、言葉巧みにこうしたオプション品のセールスを行います。
そして、建主も一生に一度の買い物に、つい財布の紐が緩みがちになってしまうのです。
また、工事内容をめぐって家族の意見がまとまらず、ケンカになる事もあります。

しかし、それらのオプション品が本当に必要なものなのかどうか、一度冷静になって考えてみる必要があります。
住設メーカーのオプション品などは、ほぼ同等なものが半額以下で市販されている事もあります。
そして家には、工事費の他にも、登記費用や火災保険、引っ越し代などの諸費用もかかります。また、家は建築してからもメンテナンス費用がかかる事も忘れてはいけません。

一生に一度の買い物を前にして、大きく夢が膨らんでしまうのは理解できます。多少無理をしてでも、理想の住まいを手に入れたくなるのも当然です。
しかし、工事が着工してからも、工事費が増えないとも限りません。
せっかく思い通りの家を手に入れても、ローン返済に追われて、そこで想い描いていた暮らしができなくなっては本末転倒です。
建築資金には常に余裕を持って、計画を進める事が大切だと思います。

shikin[1]

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