家を建て替える際に、既存の家の解体工事を新築工事と切り離して自ら解体業者を手配して行う方が少なくない様です。
住宅会社を通さずに施主が直接解体業者に依頼することで、決して安くない解体工事費用を大幅に圧縮することができます。
一方、それが原因でトラブルを引き起こすこともあるので注意が必要です。
良くあるトラブルとしては、近隣からのクレーム、人身事故、廃棄物の不法投棄、追加工事の発生、工事のやり直しなどです。
そこで解体工事を施主発注する場合の注意点をご紹介したいと思います。
現在は少なくなりましたが、昔から解体工事業者の見積もりは「一式〇〇円」、「坪☓☓円」などといったアバウトな見積もりが多く、工事範囲や工事内容があいまいな事が多いのが普通でした。
今でもこうした業者が存在している様なので、この様な見積書はたとえ安くても注意が必要です。
解体工事は、大型の重機が使用できるのか、手作業で解体する必要があるのか、廃材搬出のための車両の駐車スペースはあるか、警察署に道路使用許可をもらう必要があるか、近隣対策費用は必要か、などといった現場の条件によって大きく費用が異なります。
見積もりを取る際には必ず現場を見てもらい、詳細な見積書を提出してもらう様にする必要があります。
また解体工事で発生する廃材は産業廃棄物になるので、国が定めた基準に従って適正に処分する必要があります。
合法的な廃棄物処理をしている業者であれば、廃棄物をどのように処分したかを記した「マニフェスト伝票」を必ず保管しているはずです。
マニフェスト伝票はご自身でも必ず受け取り、自分が出した廃棄物が合法的に処分されたかどうかを確認しておくことで後々のトラブル防止になります。
解体工事では、近隣からのクレームも数多く発生しています。
解体工事中に近隣トラブルが発生すると、その後の新築工事にも何かと支障をきたすことになるので、工事期間が短いからといって決して軽視する事はできません。
解体工事前には必ず近隣の方に挨拶を行っておく必要があります。
中には突然解体工事に着手してしまう業者もあるので、注意が必要です。
工事の少なくとも1週間くらい前までには、ご自身と解体業者で一緒に近隣挨拶を行う様にすると良いでしょう。
また万一に備えて、解体業者が賠償責任保険に加入しているかどうかを確認しておきましょう。
賠償責任保険とは工事中に事故が起きて近隣に損害を与えてしまった場合にそれを補償するものなので、保険に加入していない業者には発注を控える様にしましょう。
その他、できる限り新築工事を行う住宅会社の担当者にも、解体工事前と解体工事後に現場を見てもらう様にしましょう。
余計なところまで解体してしまった、解体すべきところが解体されていない、整地がきちんとされていない、などといった工事のやり直しリスクを回避することができます。
また稀に隣の家の水道管やガス管が敷地内を通っていて、知らずに誤って破損させてしまったなどというケースもあるので、住宅会社と事前に情報を共有しておく上でも有意義です。
解体工事を施主発注とすることは、コストを削減する上で大きな効果があります。
しかし一方では、自身がリスクを負うことにもなることはつい忘れがちです。
万一近隣とのトラブルや事故、違法な廃棄物処分などがあると、施主にまで責任が及ぶこともあるので細心の注意が必要です。
注意すべきポイントをしっかりと抑えて上手にコストを削減して欲しいと思います。
解体工事には大きなリスクがともなうことが多いのをお忘れなく!